その中で、最も厳しくて辛かったのがAさんとの「レンコ」だった。Aさんは、北海道では「主」と呼ばれるほどの人で、現地では知らない人はいないほどの顔の広さをもっていた。
確かに知識は広く、仕事も的確だったと思う。ただ、かなりの意地悪でやきもち焼きだったのも事実。自分が連れてきた他の添乗員が気に入られるのが許せないのだ。毎日のように、小言を言うタイミングを計っているような人だった。
出発空港で、、、
ちゃんと睡眠はとりましたか!
ハイ。(あなたと1週間一緒に仕事かと思ったらまったく眠れませんでした)
ドキュメントのチェックはしたでしょうね!
ハイ。(あなたに突っ込まれないように、充分してます)
旗(社名の書かれたもの)にアイロンは!
ハイ。(あなたのように、スプレーまではしてませんけど)
バスの座席表は作ってありますか!
ハイ。(私の号車の分は)
それから、
ハイ。(1週間耐え抜く、覚悟はできてます)
現地で、、、
新人らしくしなさい。
ハイ。(あなたより目立つことはしません)
何でも私に聞きなさい。
ハイ。(許可なく動くなんて、怖くて出来ません)
ドライバー、ガイドになめられないように!
ハイ。(なめられないように、信頼関係は築きますけど)
それから、
ハイ。(あなたを立てるように、努力しますってば!)
部屋で、
もう寝るつもり?
イイエ。(ただ、かばんを整理しただけです)
どこに行く? 遊び?
イイエ。(トイレぐらい行かせろ!) *添乗員部屋はバス、トイレ無が多い
新人なのに、よく寝ようと思いますね?
イイエ。(あなたのおかげで、目一杯疲れて気絶してるだけです)
それから、
イイエ。(寝かせて!)
仕事が終わって、、、
問題なく帰れたのは
ハイ。(あなたのおかげです)
天気に恵まれたのは
ハイ。(あなたのおかげです)
飛行機が飛んだのも
ハイ。(あなたのおかげです)
それから、
ハイ。(すべて、すべてあなたのおかげです)
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